【ユルい難民認定】野党の「難民等保護法案」に潜むリスク

【ユルい難民認定】野党の「難民等保護法案」に潜むリスク

野党が共同で提出した難民等保護法案

野党の立憲民主党、国民民主党、共産党、沖縄の風、れいわ新選組、社会民主党が共同で、2月18日、難民等保護法案・入管法改正案(難民等の保護に関する法律案、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案)を参院に提出しました。

野党の主張によれば、日本の難民受け入れが少なく、それは日本の出入国管理制が、難民をできるだけ入れない、できるだけ帰っていただくという制度、建付けの中で運用されているので、これを変えて「先進国の名誉ある一員として救うべき命を救いたい」とのことです。

しかし、野党の主張と考え方は極めて薄っぺらだといわざるを得ません。そもそも「難民の定義」は難しく、よく難民として報じられる「ロヒンギャ」についても、野党はその実態を把握していないため、この法案が「救うべき命」を救える裏付けにはなりません。

野党提出の法案で、これが成立することはないと思われますが、本記事では、この法案の問題点について指摘していきます。

問題点1 法務大臣に代わり「難民等保護委員会」が難民認定

野党が共同で提出した難民保護法案では、現行の法務大臣ではなく、独立行政委員会である「難民等保護委員会」に移管して難民認定することをなっています。逆に、法務大臣は難民の認定に関しては決定権を有しない、ということになります。

法務大臣の難民認定の権限を「委員会」に移す意図が明らかですが、委員会ならば難しい難民認定が正しくできるのでしょうか?根拠はまったくありません。
野党が救いたいのが、例えばロヒンギャ難民なのであれば、野党はロヒンギャの実態を調査し、ロヒンギャ難民を正しく認定し、正しい救済手段を、国会において提言すればいいでしょう。

問題点2 ユルい難民認定の基準

認定基準については委員会が策定・公表するとしていますが、一方で、「当該外国人が難民等であることを認めることが困難な場合であっても、当該外国人の供述の全趣旨及び事実の調査の結果に基づき、難民等の認定を行うことができる」とあり、委員会が「全趣旨と調査の結果に基づき認定した」とすればいいだけの「ユルい」認定にしようとしているのがわかります。

これでは、正しい認定ができず「救うべき命」を救えるようになるとはいえません。
難民受け入れが少ないことだけを理由に、難民認定を緩めることは、不法な「難民」を増やし、日本の治安を悪化させるリスクが増加します。難民の認定を受ければ、生活維持費、医療サービス、就業支援、日本語習得支援、公営住宅などの生活支援を受けられるようにしているだけに「全趣旨と調査の結果に基づき認定」というのはユルすぎます。

問題点3 総理大臣でも罷免できない委員会

法案によれば、難民等保護委員会の委員長と委員は国会同意人事であり、5年の任期中、一定の事由に該当した場合を除き意に反して罷免されない、となっており、総理大臣でも罷免できません。

これでは問題点2にあげたような難民認定の基準などを緩めすぎたとしても、委員会を是正することができません。

難民や移民の受け入れに関する海外の動向

現在、難民救済に関する世界的な動きとしては2015年9月の国連サミットで採択された「SDGs (Sustainable Development Goals)」に関連して、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は、SDGsが掲げる “誰一人取り残さない” 世界の実現のために、難民や国内避難民、無国籍の人々が取り残されることのない開発計画を重視していくとしています。

これと連動して、日本も2016年に安倍晋三 元総理が「日本は、難民及び難民受入れ国の支援のため、これまでの経験と能力を積極的に活用し、この分野の取組を質、量、共に一層拡充します。」という方向性を打ち出しました。

難民を救済することは国際社会の一員として当然のことですが、日本ではロヒンギャなどの難民の実態が伝わっていないため、今回の野党の法案のような付け焼刃的なものでなく、その実態にあわせて救済策を講じる必要があります。少なくともロヒンギャの場合は、その複雑な歴史や宗教的な背景などを知らないと本当の救済は難しいでしょう。

また、アメリカがバイデン政権に変わって、移民が最短8年で市民権を持てるようになる法案を議会に提出しているような状況も考慮して、難民や移民などをどう受け入れるかという方向性を再考する必要があります。

まとめ 現行制度とは切り離した外国人ワールドを構築するための野党の法案

指摘してきたように、野党が提案する難民保護法案はさまざまな問題を抱えており、特に新設の「委員会」が絶大な権限を持ち、不明確な基準で「認定」をすることで、難民でない外国人を増やすリスクをはらんでいます。
今国会でこの法案が成立する確率は低いものの、野党は、今後も繰り返し法案を通す動きを続けることが予測されますので、日本国民としては、野党の「意図」を理解して注視する必要があります。

また、マスコミも野党の動きに加担して難民受け入れを推進すると予想されますが、その前にロヒンギャやウイグルなどの人権侵害の実態実態を正しく国民に伝えるのが先です。難民や人権侵害の実態を正しく伝えないマスコミの怠慢こそが問題であり、まずは自分たちの仕事をちゃんとしろ、という話です。

そして、野党、特に立憲民主党は、今国会においてもサクラや森批判、そして、総務省接待問題のようなことに時間を使い、十八番の審議拒否も繰り出していますが、本当に仕事をちゃんとしろ、という話です。

参考情報

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