伊藤詩織さんの発言の問題

伊藤詩織さんの発言の問題

伊藤詩織さんの問題発言

また伊藤詩織さん周辺がざわついているようです。理由のひとつは、伊藤詩織さんが、警視庁から虚偽告訴、名誉毀損罪で取り調べを受けていること。もうひとつは、漫画家のはすみとしこさんら3人に対し損害賠償を求めている裁判が始まったことでしょう。

しかしながら、これらは警視庁や司法が動いていることなので、この記事では特に言及しません。
ここではあらためて、伊藤詩織さんの問題発言について取り上げてみたいと思います。

何が問題なのか

英BBCは2018年6月28日夜、伊藤詩織さんを取材した「Japan’s Secret Shame(日本の秘められた恥)」を放送しました。

この中で伊藤詩織さんが言った

“If you grow up in Japanese society, everyone have experienced sexual violence, or sexual assault”

という言葉をめぐって今でも議論が続いています。

ストレートに翻訳すれば、

“日本社会で育つと誰もが性的暴力や性的暴行を経験しているんです”

といったかんじでしょうか。
その後の伊藤詩織さんの発言からは、「誰もが経験している」という対象は、東京の満員電車での痴漢行為のようなものであるようにも聞こえます。

議論になっているのは、

「日本では誰もがそのような被害(sexual assault)を経験している、というのは言い過ぎで、日本という国の評価を下げているし、日本ではそのようなことをするのが当たり前だというイメージから性犯罪を助長する危険性がある」

という伊藤詩織さんへの反対意見と、

「sexual assaultという言葉には痴漢行為のようなものも含まれるので、その発言は間違いではないし、このような声をあげている伊藤詩織さんを非難するのはセカンドレイプだ」

といった伊藤詩織さんを擁護する意見です。
ひとつのポイントとしては “sexual assault” という言葉の解釈でしょう。

英語圏では”sexual assault”という言葉はどう解釈されるのか

では問題の

“If you grow up in Japanese society, everyone have experienced sexual violence, or sexual assault”

という言葉が英語圏でどのように解釈されるのか?

オーストラリア人の方のインタビュー動画(日本語字幕つき 約3分)があります。

インタビューされているオーストラリアの男性の方によれば

「Sexual Assaultという言葉からは”暴力”や”レイプ”をイメージします」
「誰かを暴力で傷つけるイメージです」

とのことです。
つまり、日本の電車内の痴漢行為のようなイメージよりも、かなり深刻で重大な性犯罪のイメージではないでしょうか。

さらに動画では”If you grow up in Japanese society, everyone have experienced sexual violence, or sexual assault” というフレーズを聞いたら、どのようなイメージを持ちますか?という質問に対して

「日本では誰もがレイプされているようなイメージになります」

という回答でした。

さらに詳しい分類をしてみるとどうなるか

日系アメリカ人で元犯罪捜査官、元米軍人の方(日系仮面 @nikkei_kamen さん)は アメリカ軍の法律 UCMJ(Uniform Code of Military Justice)に照らしあわせ、動画でこのように4つに分類しています。

【Rape レイプ】実力行使+性的行動
【Sexual Assault 性的暴行】実力行使なし+性的行動
【Aggravated Sexual Contact 加重性的接触】実力行使+性的接触(痴漢行為みたいなもの)
【Abusive Sexual Contact 虐待的性的接触】実力行使なし+性的接触(痴漢行為みたいなもの)

要素)
【sexual contact】性的な接触 いわゆる痴漢行為のようなもの
【sexual act】性的な行動 挿入
【use of force】実力行使 武器を使ったり暴力をふるったりする

このアメリカ軍の法律(UCMJ)の分類では、Sexual Assault は痴漢行為を超えたものとして定義されてます。

これをもって伊藤詩織さん擁護派の「Sexual Assaultには痴漢行為も含まれる」という論理を完全に否定するものではありませんが、言葉というものは生き物であり、辞書や法律がどう定義するかではなく、いま生きている人間が実際にどう解釈するかで決まるものだと思います。

伊藤詩織さんを擁護する方々は
“If you grow up in Japanese society, everyone have experienced sexual violence, or sexual assault” というフレーズを聞いたら、どのようなイメージを持ちますか?という質問に対して
「日本では誰もがレイプされているようなイメージになります」
という、生きている人間の声を真摯に受けとめるべきではないでしょうか?

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